#03

ほっと心が和む、
お人形の新しいカタチ。 -前編-

2017.04.21

こどもの日やひな祭りには、
どうしてお人形さんを飾るのだろう。

家としあわせな暮らしを探求するざしきわらしラボ。
今回は端午の節句にちなんで、今までにない新しいお人形をつくる「ふらここ」さんにいろいろお話を聞いてきたよ。まずは代表の原英洋さんから~。

- 子どもがいるおウチはよくお人形を飾っているけど、いつから飾るようになったの?

歴史のお話をすると、端午の節句は奈良時代から1200年以上も続いています。鎧兜を飾るイメージが強いのですが、もともとは厄を背負ってもらう対象として、人形(ひとがた)を飾っていたといわれています。それが武家社会になってから身を守るものとして鎧兜を飾るようになり、町人文化が花開いた江戸後期には、金太郎や桃太郎などのお人形も好まれるようになりました。いつの時代もわが子のしあわせを祈る親の心は変わりませんが、飾るお人形には流行り廃りがあり、時代にあわせて変わってきたからこそ、これだけ長く続いているのですね。

- へ~、お人形ってそんなに古くからあるんだ!だからちょっとお顔が怖いのかな?

そうですね(笑)。伝統的な世界なので、顔立ちや衣装はこうあるべきという考えが定着しています。従来は祖父母がお孫さんのために買うのが一般的で、大きく品格あるものが好まれていました。ところが15年ほど前から、若いお母さまたちが自分で欲しいものを選ぶようになってきたのです。それを痛感したのが、親のお店で販売を担当していたときのこと。「大きな段飾りを買ってもらったけど返品したい」と、若いお母さまから立て続けにキャンセルの連絡を受けました。いまの人たちに本当に求められるものをつくらなければ先はないと危機感を抱き、「ふらここ」を創業して独自の人形づくりを始めました。

- じゃあ、ふらここのお人形は怖くないの?ぼくも友だちになれそう?

ふらここのお人形は、かわいらしい赤ちゃんのような顔をしていますよ。親しみやすく、愛されるお人形をつくるにはどうすればいいか考え、悩み、たどり着いたのが、人間国宝の人形師であった祖父、原米洲がつくり上げた丸い赤ちゃん顔です。飾りやすいように、サイズもコンパクトなものにしました。衣装の色合いも、従来は落ち着いた地味な色が良いとされていましたが、あえてパステル調の色合いにすることで、これまでの少し古いイメージを払しょくしました。

- なんだか見ていると笑顔になるね。いい友だちになれるかも。みんなの反応はどうだったの?

ふらここは2008年に立ち上げたのですが、従来の店頭販売という手法をとらず、ネット販売という新しいスタイルをとり入れました。ネットなどで売れるわけがないという意見が大半でしたが、若いお母さまからの反応が良く、すべてを売り切ることができました。毎年増産していますが、ありがたいことにずっと完売しています。なかには、1年以上待って購入いただく方もいらっしゃいます。これもお客さまの声を聞き続け、変わり続けてきたからこそ。2016年にはお客さまの生の声を聞く場として、ショールームをつくりました。さりげない会話の中からでもニーズを見つけ、もっと愛される人形づくりを追求していきたいと思います。

- 1年以上待ってもほしいなんてすごいね。それなら、もっといっぱいつくれば、みんな待たなくてもいいかも!

職人さんの手づくりですから、そんなにたくさん増やせないのです。そもそも人形づくりは特殊な世界で、職人さんがつくったさまざまなパーツを展示会で販売店が仕入れ、それらを自由に組み合わせて売るというのが基本スタイル。職人さんはつくりたいものをつくり、お店では似たような商品が並ぶ。そういう商習慣があったので、お客さまのニーズにあったお人形をつくりたいと職人さんに相談しても、なかなか聞いてもらえない。顔立ちも細おもてが主流で、丸顔は品がないとされていました。それでも全国各地を必死に説得してまわり、共感してくれる職人さんを増やし、理想とする赤ちゃん顔をつくり上げています。

- 伝統的な世界で新しいものをつくるのって、いろいろタイヘンなんだね。ぼくに何か手伝えることはない?

ふらここのお人形と仲良くしてもらえれば十分ですよ(笑)。最近うれしいことに、私たちの取引先で跡を継ぐ気のなかった息子さんたちが、職人の道を志すようになったという話をよく耳にするようになりました。職人不足といわれていますが、希望を持てれば職人さんは増え、育っていきます。近年、ふらここのようなかわいいお人形をつくるところも増えていますが、私たちは否定的に捉えていません。お互い切磋琢磨することで、お客さまのニーズにあったお人形が増えていく。そうして業界全体が盛り上がり、伝統は続いていくのだと思います。

人形工房 ふらここ

「ふらここ」は、かわいらしい赤ちゃんのお顔をした木目込人形のひな人形・五月人形を制作する、プロの人形職人の工房です。
http://www.furacoco.ne.jp

ざしきわらしラボ

気候や風土が変われば、住まいやしあわせのカタチも変わってくる。
どんな土地で、どんな暮らしが育まれ、 どんな知恵や習慣が生まれてきたのか。
「ざしきわらしラボ」は、れ~べ~が“家としあわせな暮らし”を探求するラボです。