#05

和と洋が織り成す、豊かな暮らし。
-前編-

2017.10.31

むかし日本には、十五大財閥というものがあったそうだよ。足尾銅山の鉱山経営や製銅事業などを行っていた古河財閥(ふるかわざいばつ)も、そのひとつ。

そこの第三代当主の古河虎之助さんが、大正8年(1919年)に陸奥宗光邸跡地を使用してつくったのが、この旧古河庭園(当時の古河家本邸)なんだ。敷地面積は、なんと約9470坪。虎之助さん、まだ32歳だったというから、財閥ってやっぱりすごいね〜。

ぼくが訪ねたとき、旧古河庭園は、ちょうどバラが咲く季節。バラの名所としても有名だから、朝から女の人がいっぱい集まっていたよ。まずは、洋館から見学してみようかな。

西洋風のお屋敷と庭園を設計したのは、イギリス人のジョサイア・コンドルさん。鹿鳴館やニコライ堂、旧岩崎庭園など、来日してから30近い建物を設計した方で、ここはコンドルさんの最晩年の代表作と言われているそうだよ。

山小屋風の屋根が特徴的なレンガづくりの建物は、地上2階、地下1階。外壁の通風口や、玄関のステンドグラスに見られるサインは、古河家の家紋である鬼蔦。ここから早くもコンドルさんの和洋折衷デザインがはじまっているわけだね。

館内に飾られた古河虎之助さんの写真は、「絶世の美男子」と言われているとおり、かなりのイケメンだよ。ニューヨークのコロンビア大学に留学もしていたんだって。きっと英語ペラペラで、モテモテだったんだろうな〜。

それから、関東大震災(1923年)のときには、この洋館や庭園を開放して避難者を受け入れてあげたそうだよ。困っているひとがいたら、見て見ぬフリができず、やさしくて、男気があって……
わ〜、ボクもあこがれちゃうな。

当時流行したビリヤード台が置かれていた撞球室(どうきゅうしつ)、そのあとで葉巻を吸うための喫煙室、そして商談が行われた部屋やダイニングルーム。お客さんを迎えることが多かった1階部分は、すべて洋室なんだ。

それぞれの部屋には大きな暖炉があるのが当たり前で、喫煙室には、なぜか噴水まで。和紙を幾重にも重ねた特別な壁紙や大理石の床とか、一見シンプルだけど、オシャレなつくりだね〜。

ダイニングルームでは、天井の漆喰装飾がステキだったよ。ちょっと見上げるだけで疲れてしまうのに、彫ったひとはどういうポーズでやっていたんだろうね。果物や野菜がたくさん隠れているから、よ〜く見てみてね。

あとね、ダイニングルームの壁を見ると、なぜか下半分くらいに木の板が貼られているんだよ。これは「大きなテーブルの両端に座ったひと同士でも、声がちゃんと聞こえて会話できるように」取り入れられた反響板なんだって……。ヤッホー!と叫んだら、こだまが返ってきたりして(笑)。お金持ちが快適な暮らしのためにする工夫は、やっぱりふつうとは発想レベルが違うよなあ。

虎之助さん家族3人が暮らしていたという2階へ上がってみたよ。吹き抜けのステンドグラスが美しい階段やホール、バスルームなどは洋式だけど、ゲストルーム以外は、和の世界。ドアを開けたら、その中にあるのは、畳、障子、床の間。仏壇のある畳の部屋を、設計者のコンドルさんは“チャペル”と呼んでいたんだって。

畳とワードローブが美しく調和した部屋を見たときに、『和洋折衷』という言葉が頭に浮かんだけど、考えてみれば、洋館内に和室があること自体がすでに『和洋折衷』だし、2階の窓から見える洋式庭園の向こう側に日本庭園が広がっている景色もまた『和洋折衷』なんだよね。

テラスに座って、英語を話す虎之助さんと日本語を話すコンドルさんを想像してみたよ。彼らは、『和洋折衷』というボーダレスで自由な価値観を武器に、そのころのひとたちから見れば、一歩先にある夢のような空間をつくり出して、日々の暮らしを楽しんでいたんだろうね。

『和洋折衷』が当たり前になった今でも、この建築デザインは、十分に刺激的だったよ。きっと庭園も見応えがあるんだろうな〜、と思いながら、洋館にさようなら。

【旧古河庭園】
住所:東京都北区西ヶ原1-27-39
入園時間:9:00〜16:30(17:00閉園)
入園料:一般150円、65歳以上70円、小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料
休園日:12月29日〜1月1日
お問い合わせ先:03-3910-0394(旧古河庭園サービスセンター)
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index034.html

【旧古河邸】
見学会:10:30~/13:00~/14:30~ 所要時間1時間のガイド付きツアー
*往復はがきによる事前申込みが必要(詳細は下記webサイト参照)
喫茶室:13:00(土・日曜・祝日は11:00)~16:30(ラストオーダー16:00)
入館料:見学会参加料金800円、中学生以下は無料 ※別途 庭園入園料が必要
休館日:月曜(休日の場合は翌日)、8月中旬および年末年始は長期休暇あり
http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/

お問い合わせ先:03-3910-8440(公益財団法人大谷美術館)
http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/
※お問い合わせは必ず、庭園については旧古河庭園サービスセンター、旧古河邸については公益財団法人大谷美術館へお願いいたします。

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