#05

和と洋が織り成す、豊かな暮らし。
-後編-

2017.11.14

目の前にある洋式庭園へ出てみたよ。コンドルさんは当時イギリスで流行っていた様式を取り入れて、三段テラス式の花壇を作り上げたんだって。

今は花壇にさまざまなバラが植えられているんだ。ブリー・リバー、シャルル・ドゥ・ゴール、
ニュー・アベマリア、プリンセス・ミチコ、マリア・カラス、芳純、桃香など、合わせておよそ100種類、199株もあるんだって。

旧古河庭園の敷地は武蔵野台地にあるので、ゆるやかな斜面にひろがっているような印象。
洋館の下に、幾何学模様の洋式庭園があって、さらに下っていくと、黒ボクという富士山の溶岩エリアに出るんだ。ここが、洋と和の境目。

その先は、池を中心につくられた日本庭園だよ。池からはもう洋館が見えないくらい、木々が森みたいに生い茂っていて。ぼくはこれ、わざと見えなくしているんだと思うな。だって、そうすれば東京とは思えないほど、自然を近くに感じられるもの。

日本庭園は、池泉回遊式。漢字の“心”のカタチをした池は『心字池(しんじいけ)』っていうそうだよ。池のまわりにぐるぐる小径があって、そこに大小いろいろな石の灯籠や橋がつくられているんだよ。

庭園のスタッフさんが「ひとつの石灯籠を見ているとき、その視界にほかの石灯籠が入ることがないように配置されているんですよ」と教えてくれて。いくつか石灯籠をチェックしてみたけど、本当にそのとおりだったよ。びっくり。

この日本庭園をつくったのは、“近代日本庭園の父”として知られる京都の庭師・七代目小川治兵衛さん。京都御苑や二条城、清水寺、南禅寺の庭もつくったんだって。

水が流れる模様のついた岩や石を並べることで、滝の流れを表現した枯山水の『枯滝』のほか、敷地の高低差を利用してつくられた本物の『大滝』もあってね。『枯滝』の前に立つと、ちょうど『大滝』の落ちる音が、背中越しに聞こえてくるようになっているんだ。治兵衛さんったら、おしゃれすぎ。

虎之助さんはいつも愛犬を連れて、この庭園を散歩していたんだって。こんなに素敵なところなのに、古河さんファミリーは結局9年しか暮らさなかったそうだよ。ぜいたくだね。

秋は庭園のモミジ、イチョウ、ハゼノキなどが色鮮やかに紅葉する季節。冬に花がなくなって寂しくならないように、ちゃんとロウバイ、ウメ、スイセン、ツバキなどもあるんだよ。

あと、歩いていておもしろかったのが、木のトンネル。うっそうとした暗い小径を歩いていくと、
トンネルを出た途端にいきなり視界が開けて、まぶしいくらい明るい世界に出るんだ。それからしばらく歩いていくと、また薄暗いトンネルの茂みに入って……そんなふうに光と影を演出することで、ちょっとドラマチックな気分が味わえるように工夫されているんだね。

ちょうどお昼時だったので、近所のOLさんたちがいっぱい、ベンチでお弁当を楽しそうに食べていたよ。旧古河庭園が都市公園として一般開放されたのは約60年前のことらしいけど、そんなふうにいまも地元で愛されているなんて、すばらしいと思わない?

いまも色あせない魅力的な洋式庭園や日本庭園を考え出したコンドルさんと治兵衛さんもすごいし、そのあと100年以上も、作り手の思いを守り続けている職人さんさんたちもすごいよね。自然や季節を大切にする心が、むかしから今へとバトンのように繋がれているなんて、とっても素晴らしいことだよね。

しかも、洋式庭園にバラをたくさん植えて、春と秋の開花時には大勢の人たちがそれを楽しみに集まってくるなんて、おそらくコンドルさんたちも想像していなかったこと。伝統を受け継いで、それをさらに進化させる創意工夫って、すごいな〜。そんな伝統の上にあぐらをかかない姿勢が、この旧古河庭園をステキな空間にしているんだろうね。

ボクもがんばろう!まあ、ボクはあぐらはかけないんだけどね(笑)。

【旧古河庭園】
住所:東京都北区西ヶ原1-27-39
入園時間:9:00〜16:30(17:00閉園)
入園料:一般150円、65歳以上70円、小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料
休園日:12月29日〜1月1日
お問い合わせ先:03-3910-0394(旧古河庭園サービスセンター)
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index034.html

【旧古河邸】
見学会:10:30~/13:00~/14:30~ 所要時間1時間のガイド付きツアー
*往復はがきによる事前申込みが必要(詳細は下記webサイト参照)
喫茶室:13:00(土・日曜・祝日は11:00)~16:30(ラストオーダー16:00)
入館料:見学会参加料金800円、中学生以下は無料
休館日:月曜(休日の場合は翌日)、8月中旬および年末年始は長期休暇あり
http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/

お問い合わせ先:03-3910-8440(公益財団法人大谷美術館)
http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/
※お問い合わせは必ず、庭園については旧古河庭園サービスセンター、旧古河邸については公益財団法人大谷美術館へお願いいたします。

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