#06

下町の銭湯に残る、日本庭園と縁側と。
-後編-

2018.01.15

まずは、男湯へ。うわ〜、窓の外に広がる緑がきれいだな〜。高い天井の窓から、太陽の光もいっぱい射し込んでいるよ。週に1日だけ、水曜日には、この男湯が女湯になるんだって。タカラ湯自慢の日本庭園は男湯からしか見えないから、水曜を楽しみにしている女性のお客さんも多いそうだよ。今からおよそ70年前ごろの銭湯全盛期には、このお風呂に毎日1500〜2000人が入浴していたなんて、想像できないよね。大晦日のお客さんは、何と3000人だって……。

男湯の壁に描かれているのは富士山……ではなくて、2017年2月に描かれた富山県の風景。現役最高齢絵師である丸山清人さんが立山連峰を、日本銭湯文化協会理事の町田忍さんが北陸新幹線を担当。
銭湯の休日に脱衣所でジャズのライブや写真展を開催したり、タカラ湯の松本さんは、アートに理解があるんだね!

タカラ湯では、お風呂に地下180メートルから汲み上げている井戸水を使用しているんだ。水道水みたいに塩素が含まれていないから、湯上がりはお肌スベスベ。気泡風呂、超音波風呂、赤外線風呂、電気風呂、ゲルマニューム温泉、薬湯、ハーブ湯など、浴槽もいろいろあって、一回ではとても楽しみきれないよ。

女湯の壁の絵も、立山連峰と北陸新幹線。裏面には以前の富士山の絵があるので、そのうちまた富士山に戻っているかもしれないね。女湯から日本庭園は見えないけど、男湯よりも広くてゆったりしたつくりなんだ。フィンランドから輸入した本格的なサウナまであるんだよ!

女湯のシンボルは、ペンギンの親子。どうしてペンギンなのかわからないけど、眺めているだけで、いやされる〜。

親子と言えば、昔の脱衣所にはベビーベッドが10台も用意されていて(ちなみに現在は2台)、入浴後の赤ちゃんを母親から受け取ってタオルで拭いたりオムツをつけたりする専門の女中さんが、6人も住み込みで働いていたそうだよ。

脱衣所から縁側へ出ると、そこは鯉の泳ぐ池や石灯籠のある日本庭園。松本さんのおじいさん、つまりタカラ湯の初代当主がもともと庭師だったことから、このような本格的な日本庭園がつくられたそうで、春のツツジやサツキ、初夏のアジサイ、秋のモミジ、冬のサザンカなど、四季折々の花が目を楽しませてくれるんだ。

縁側はついたてでふたつに分かれていて、受付のあるロビーにつながっている縁側部分は、入浴後に服を着てからリラックスするための空間。家族でくつろげるテーブルが並び、将棋やオセロも置かれていたよ。

脱衣所から出たところにあるもうひとつの縁側は、風呂上がりにハダカのまま休んでいても大丈夫。温泉ではないけれど、ちょっと森の中にあるスパリゾートみたいな、とっておきの空間だよ。そんな東京の下町とは思えない別世界感が、タカラ湯の魅力なんだろうな。

やっぱり湯上がりは腰に手をあてながらコーヒー牛乳をぐびぐびするにかぎる!と思っていたら、タカラ湯ではビールやチューハイも人気なんだって。風呂上がりにあの縁側で飲めば、なんだっておいしそうだけどね〜。

側に立つと、風鈴の音。「もっと敷地を有効活用して、銭湯のとなりにコインランドリーをつくったりすることもできるのでしょうけど、私は無駄な空間を無駄なまま、庭を庭のまま、残しておきたかったんです。お客さんがお風呂を楽しんだあとも、縁側を吹き抜ける風を感じたり、木々の合間から月を見たり、ぼんやり鯉を眺めたり……タカラ湯で、そういう時間を過ごしてもらえたらうれしいですね」と、松本さんはおだやかに微笑みながら話してくれたよ。

無駄なものを無駄なまま残すことの大切さ……すごいなあ。歴史のある銭湯というだけではない、松本さんの粋な美意識によってつくられたタカラ湯という空間が、もしかしたらパワースポットのように、訪れたお客さんをしあわせに、元気に、してくれているのかもしれないね。だからみんな、家にお風呂があっても、遠くで暮らしていても、ときどきタカラ湯に入りたくなるんだよ。

【タカラ湯】
電話:03-3881-2660
住所:東京都足立区千住元町27-1
営業時間:15:00〜23:30
お休み:金曜
利用料金:大人460 円、中学生・高校生300円、小学生180 円、乳幼児80 円
アクセス:北千住駅から徒歩20 分
http://slowtime.net/takarayu/

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